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2019年01月23日

コラム/最適物流の科学①

最適物流の科学

 

弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は36106万平方km

海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。

 

そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を

毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。

 

第一回となる今回は、コンテナ船について書かれた第1章からご紹介していきます。

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「知れば知るほど興味深い、海運を担う船舶」

 

海上に出現した横長の巨大ビル―。

あえて形容するなら、そんなところでしょうか。海に浮かんでいるのはコンテナ船。

現代の海上輸送で主翼を担う船です。

 

重厚なコンテナが甲板上に整然と積まれている様は、まるで一つの建造物のようにも見えます。

 

岸壁に立ち、初めてコンテナ船を目にした人の多くは、

思わず「でかい」「大きい」といった言葉を口にしてしまうことでしょう。

 

2017年7月の時点で就航している世界最大のコンテナ船は、約2万TEU。

「TEU」とは、Twenty Feet Equivalent Unitの略で、

20フィートコンテナで換算した単位のことです。

コンテナ船の大きさや港の規模を示すときに使われます。

 

20フィートコンテナは、長さが20フィート(約6m)、幅が8フィート(約2.4m)です。

面積で考えると約14㎡。これが2万個置かれたとすると、単純計算で28万㎡もの広さになります。

つまり、一隻の船に貨物を積むスペースをこれだけ確保できるということです。

 

現在、日本でもっとも高いビルは大阪のあべのハルカス(タワー館:高さ300m)です。

 

その延床面積は約21万2000㎡。2万TEUのコンテナ船には、

これよりも広いスペースを設けられるのです。

 

あべのハルカスをご存知ない方は、60階建ての超高層ビルをイメージしてみてください。

その地下から最上階までの全フロアが貨物で埋め尽くされているとします。

その夥しい量の貨物が、たった一隻の船に一つ残らず収まってしまうのです。

 

別の例で比較してみましょう。東京の築地市場の敷地面積は約23万㎡。

この施設の床を埋め尽くすくらいの貨物でも、一隻にまるごと収まってしまうということになります。

 

さらに、建物の広さの比較対象としてよく用いられる東京ドームの面積は約4万7000㎡。

これと比較すると、前述のコンテナ船にはその約6倍のスペースを設けられるということになります。

 

これは、あくまでも2万TEUのコンテナ船に、最大積載数まで積んだ場合の

コンテナの総床面積で考えた仮定の話です。

実際にはさまざまな条件が加わるため、コンテナ船とビルのスペースを

単純に比較することはできません。

それでも、コンテナ船がいかに巨大なのかはご理解いただけたのではないでしょうか。

 

 

巨大化するコンテナ船と多国籍化するビジネス環境

 

圧倒的な存在感を誇るコンテナ船ではありますが、

これを実際に間近で目にした経験のある方は決して多くないでしょう。

 

コンテナ船そのものはもちろん、コンテナ船が実際にどんな風に貨物を積んで、

どんなルートを航行しているかといった情報も、一般の方に伝えられる機会は決して多くありません。

 

しかし、期せずしてコンテナ船に関する情報が広く報じられるケースがあります。

その代表例として挙げられるのが事故のニュースです。

 

伊豆半島沖の海域で2017年6月17日未明、コンテナ船とアメリカ海軍のイージス駆逐艦が

衝突する事故が発生し、イージス艦の乗組員七人の命が失われるという大変に痛ましい事態へと

至りました。

 

連日、この海の衝突事故がマスコミでも報道され、またニュースでは事故の原因や背景についても

詳しく報じられたことで、普段は触れる機会が稀な海運業界の事情について知識を得た方も

多いかと存じます。

 

この悲惨な出来事を教訓とするとともに、事故の経緯などをひも解いていくことで、

海運に携わる仕事のさまざまな顔、ひいては業界の様子を知る教材とし、話を進めて参ります。

 

この事例で当該船舶となったのは、コンテナ船ACXクリスタル(ACX CRYSTAL)と

アメリカ海軍のイージス駆逐艦フィッツジェラルド(FITZGERALD)の二隻です。

 

コンテナ船は、名古屋港から東京港に向けて航行中で、途上の伊豆半島沖は

船舶の過密地帯として知られていました。

この航路は伊勢湾方面と東京湾を結ぶ最短ルートで、一日当たりの通行船舶が

400隻にも達する「海の難所」です。

 

また伊豆半島沖を含む日本沿岸では、AIS(船舶自動識別装置)搭載船舶だけでも

1日平均で5000隻が通行しています。AISとは、船の運行情報を常時発信する装置のことで、

海上人命安全条約(SOLAS条約)に基づく国内法(船舶設備規定第一四六条の二九)では、

国際航海に従事するすべての旅客船と300総t以上のすべての船舶、また国際航海に従事しない

500総t以上のすべての船舶に対して、その搭載が義務付けられています。

 

この5000隻の中には商船以外の船も含まれますが、膨大な隻数の船舶が日本の港を

往来しているという現実は知っておいて損はないでしょう。

 

テレビでの事故報道ではコンテナ船の映像が度々流れましたが、そのスケール感は圧倒的でした。

 

コンテナ船のACXクリスタルは、全長222.6m、総トン数2万9060tに達します。

 

それに対しイージス艦は、全長154m、総トン数8315tの規模ですが、

イージス艦は決して小さいわけではないのです。

ただ、それ以上にコンテナ船が巨大なのだと捉えるのが正解です。

 

しかし驚異なのは、このコンテナ船も同種の船舶では特別に規模が大きいというのではない

という事実です。今日では全長四〇〇mクラスのコンテナ船も登場しています。

 

先に紹介した世界最大のコンテナ船がまさにこのサイズなのです。

想像を超える大きさの巨大コンテナ船が、日本近海だけでなく世界中の海で日々活躍しているのです。

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つづく。

次回は、商船の歴史とその種類について、ご紹介したいと思います。

 

ご興味を持っていただけた方、続きを一気にご覧になられたい方は、ぜひアマゾンでお求めください♪

最適物流の科学――舞台は36106万平方km。海を駆け巡る「眠らない仕事」

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投稿者

ジャパントラスト株式会社 

 


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