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2019年08月28日

コラム/最適物流の科学㉑

最適物流の科学

 

弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は36106万平方km

海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。

 

そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を

毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。

 

第二十一回となる今回は、「海運の安全安心神話を検証する」というテーマでお話しいたします。

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「事故やトラブルの時、対応はどう違う」

 

多くの荷主がフォワーダーへ委託を検討する際に心配されるのが「万が一のとき、ちゃんと対応してくれるのだろうか?」という点です。

事故やトラブルがあったとき、規模の小さい企業では十分な対応ができない、補償が不十分といった印象を抱く人は少なくありません。ただ、この点に関しては、船会社とフォワーダーの間に全く差がないというのが事実です。

 

船会社もフォワーダーも、貨物の輸送を請け負う際にはB/L(船荷証券)を発行しますが、その裏面約款には、事故などが起こった際の補償内容が記載されています。裏面約款は各社で作成するものですが、基本的にB/L条約と国際海上物品運送法に準拠した補償内容に基づくと記しています。つまり船会社もフォワーダーも、内容はほとんど同じなのです。

 

B/L条約〝ヘーグ・ヴィスビー・ルール(The Hague – Visby Rules)〟とは、「船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約」を指します。これは、一九二四年にB/Lに関する国際条約として成立したヘーグ・ルールの改正議定書として、一九六八年に制定されたものです。

日本は一九九二年にこの議定書に署名し、同年に批准しました。現在、国内法として定められている国際海上物品運送法も、ヘーグ・ヴィスビー・ルールに則ったものとなっています。

 

このルールにおいて貨物に対する責任限度額は、一梱包当たり六六六・六七SDRまたは貨物重量一㎏当たり二SDRのいずれか高い方が適用されると定められています。SDRはSpecial Drawing Rightsの略で、国際通貨基金(IMF)からの特別引出権を指します。これは世界共通の通貨単位で、毎年変動しています。一SDRは二〇一七年一月の時点で一五五・九六七四円。

 

つまり、これに当てはめると、一梱包当たり約一〇万四〇〇〇円ということになります。船会社であろうとフォワーダーであろうと、貨物が損害を被った場合に受けられる補償は、物品の価値にかかわらず一梱包につき一〇万円程度だということです。もちろん会社の経営規模も関係ありません。大手の船会社やフォワーダーだから補償が手厚いということもないのです。

約款に書かれている内容のすべてに目を通す方は少ないかもしれませんが、貨物の輸送を依頼する際は、こうした事実を頭に入れておいた方がよいでしょう。

 

 

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つづく。

次回は、「大手海運企業破綻にみる正しい処方せん」というテーマでお話しいたします。

 

ご興味を持っていただけた方、続きを一気にご覧になられたい方は、ぜひアマゾンでお求めください♪

最適物流の科学――舞台は36106万平方km。海を駆け巡る「眠らない仕事」

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投稿者

ジャパントラスト株式会社 

 


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