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2020年11月04日

総合物流情報誌KAIUN『海運』2020年5月号 に弊社代表菅のインタビュー記事

総合物流情報誌KAIUN『海運』2020年5月号 に弊社代表菅のインタビューが掲載されました。

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【同業他社とのタイアップを徹底した“敵を作らない”無敵の経営】

ジャパントラストは名古屋に本社を置く独立系フォワーダーだ。

1995年の創業以来、北米発着コンテナ貨物輸送と全世界向けオーバーゲージ貨物で強みを持つ。

同社の菅哲賢社長に足元の経営環境や独立系ならではの強みなどについてインタビューした。

菅社長は同業他社と得意・不得意な貨物を融通し合うことで「(味方だらけの)無敵の経営を徹底している」と話す。(取材日:3月13日)

【事業の中核は北米発着コンテナ輸送と世界中へのオーバーゲージ貨物輸送の2本柱】

――貴社のこれまでの経緯をご説明ください。

菅■ ジャパントラストは1995年3月、名古屋で誕生しました。

貿易会社(大幸貿易)を経営する私の父、その会社と取引のあった某船会社系フォワーダー経験者2人、

そして大手非鉄金属メーカーYKKに勤務していた私という4人で立ち上げました。私が24歳の時です。

当社が創業した1995年は、1月に阪神淡路大震災が発生し、4月に為替相場が1ドルあたり80円を割る超円高を記録した年です。

そんな環境下、大手資本が入っていない独立系フォワーダーとして既存顧客ゼロの状態から事業をスタートしました。

しかしメンバーの在職していた某船会社系フォワーダーが得意としていた北米発着コンテナ輸送に加えて、

工作機械メーカーが多い中部地域の特性を生かしたオーバーゲージ貨物(大型貨物や重量物、長尺物など)輸送を中心に

集荷活動を展開し地道に新規顧客を獲得して今に至ります。

拠点整備については1998年に東京支店を、2002年に米国ロサンゼルスに現地法人GREAT LUCK社をそれぞれ設置しています。

社員数は約30人ですが、別に船会社やフォワーダー、乙仲を経験した方や

NVOCCが本業でない企業を集荷代理店として契約し代行営業をしていただいてます。

社員同様大事なパートナーとして全面的に信頼して、仕入れ情報など経営資源を提供し、サポートいただいてます。また、経営体制という意味では、私が2000年に社長に就任し、今年で21年目を迎えます。先ほど触れたように、貿易業を営む父の姿を見ながら育ってきたため、当社のお客様である荷主の立場も理解しながら最適な物流を提案できるのも強みです。

――現在の事業概況について教えてください。

 菅■ 当社事業の中核をなすのが、創業以来展開している北米発着コンテナ輸送サービスと

全世界向けオーバーゲージ貨物輸送サービスです。これらの事業をベースに、全世界発着の海上輸送、

アジア・中国―北米大陸を結ぶ三国間輸送などを展開しています。

主力の2本柱を順番に説明します。まず、北米向けコンテナ輸送サービスですが、

日本発・北米向けコンテナの年間輸送実績は2018年度で約13000TEUと、

自社集計ですがフォワーダーのランキングで第4位ぐらいだと思います。

当社は北米向けにコンテナ輸送を提供している全ての主要船社と輸送契約を結び、

それぞれのお客様にとって最もコストメリットのあるソリューションを提供することが可能です。

日本出し以外の三国間輸送やドア・ツー・ドア輸送にも対応しています。

もう一つの柱、オーバーゲージ貨物輸送サービスに関しても、

最もオーバーゲージの取扱量が多いと船会社から評価をいただいております。

オープントップコンテナやフラットラックコンテナといった特殊コンテナを利用することで、

大型機械やコイル、設備プラントなど様々な規格外貨物の輸送に対応しています。

在来船をチャーターすることも可能です。

主要な船会社の貨物スペースを確保し、北米、アジア、欧州の各地向け輸送を担っています。

――足元の経営環境をどのように見ていますか。

 菅■ 昨年の秋以降、主力の北米輸送とオーバーゲージ貨物はともに取扱量が減少しています。

過去4年間のリーマン・ショック後の反動バブルが一段落したと見ており、悲観はしていません。

バブルが落ち着くことを見越して新規案件を獲ってきたため、(現在の反動も)織り込み済みです。

私は同じ案件・ビジネスは10年以上続かないと思っています。

「今取り扱っている貨物は10年以内に消える」との思いで新規案件への営業活動を積極的に進めています。

事実、10年前と今の客層を比べても半分以上は入れ替わっています。

常に新規案件に対する営業活動を続けることで、

貨物量減少、景気減退や今回の“コロナショック”などの外部要因の影響を最小限にとどめることができます。

我々はまだ米国マーケット全体の2%の貨物しか獲れていません。

言い換えれば、残り98%分の巨大なビジネスチャンス(新規案件)がまだ存在しているということです。

【物流同業者と協力関係を築き敵を作らない経営を徹底】

――ノンアセット型独立系フォワーダーの強みとは。

菅■ 大きな強みが2つあると思ってます。第一に、“敵を作らない”味方だらけの無敵の経営に徹底しています。

当社は、大手さんとは違い、完全なノンアセットで、倉庫などハードを一切保有してません。

中立的な立場で全ての同業者にアプローチできます。

北米向け取扱量の上位にランクインしているフォワーダーの中で、海上輸送に特化した独立系フォワーダーは当社のみです。

同業者とは競合を避けて、下請けに徹してます。

それにより、NVOCCが本業ではない乙仲 や他のフォワーダーは、当社の仕入れ力を使って、

海上輸送サービスを優位に顧客に販売することができます。実際、当社の扱い量の半分以上は、同業他社からのブッキングとなりました。
また、当社は海上輸送に特化してますので、逆にお客様から通関など国内作業の依頼があった場合は、

普段仕事をもらっている乙仲にバーターで委託しています。

港湾作業、エアー便、混載や梱包、通関などで同業他社とバッティングすることは、絶対にありません。

当社はIATA(国際航空運送協会)や通関免許を取らず、全ての物流同業者は仲間だと思っております。

それぞれの強み(のサービス)はしっかり伸ばし、弱みは潔く他社に譲ります。

委託するということでは、他のフォワーダーや乙仲の海外現地法人を、

当社の海外のレシービングエージェントとして起用することも多いです。逆に、当社の米国現地法人を使っていただくこともあります。

第二の強みとして、船会社に対する(運賃やスペースの)“仕入れ力”だと思っています。

当社はオーナーである私自身が20年以上ずっと船社運賃交渉窓口の責任者を務めています。

基本的には、海外の船会社であっても私自身が現地に赴き、外国人のプライシングマネージャーと運賃交渉を行います。

数年おきに交渉窓口の担当者が変わる他社とは違い、過去数年間の人間関係の蓄積による信頼関係をベースに交渉しております。

――今おっしゃった“新規案件営業”の強化に向けた、工夫のようなものはありますか。

菅■ “正規集荷代理店”に加えて、“集荷取次店”の契約も進めていこうと思っています。

これは、法人契約、個人契約を問わず、だれもが初期投資無しで、当社のサービスや他の物流サービスを副業でも販売することができます。

企業でも個人の方でも、船会社、エアーフォワーダー、NVOCC、乙仲を退職された方、

独立したい方、副業したい方なども対象に募集をしております。

また、梱包業者や甲仲、丙仲、エアーフォワダーさんなど、中小の通関業者などとのタイアップも広げていきたいと思います。

すべての同業者様が代理店になる可能性を秘めているので、競争を避けて、まわりを味方だらけにしたいと思い、

同業者への「集荷代理店契約」を拡大していきます。

また、仕事をもらう一方通行ではなく、当社からも不得意分野は、同業他社へバーターで委託していきます。

――業務のデジタル化に対する考え方を聞かせてください。

菅■ 当社は海運業界でもデジタル技術の導入で最先端を行っていると自負しています。

船や倉庫などのハードを持たない当社にとっては、

できるだけ多くの情報をどれだけ早く処理できるかが重要な差別化となります。

今は業務のロスを減らすため、RPA(Robotic Process Automation、ロボットによる業務自動化)

という技術を導入して試行錯誤を繰り返しています。

具体的な成果はまだ表れていません。それでも、やらなければ効果があるかも分かりません。

社員には「失敗しても良いから挑戦してみよう」と言っています。
当社は単にフォワーダーと言うより、たまたま物流、

特に「北米とオーバーゲージ貨物の海上輸送に強いIT企業」だと思っています。

「能動的に営業活動するデジタルフォワーダー」とも言えるかもしれませんね。

今回のコロナショックの前から、本支店間を常時テレビ接続、顧客とのweb面談、在宅勤務を推奨するなど、

利益の半分はデジタル技術の導入などの先行投資に充てています。

極論を言えば、パソコンとスマホさえあれば事務所も不要です。

なるべく安い海上運賃を提供できるようコストカットを続けていくため、デジタル技術は不可欠だと思っています。

【海上運賃はもう底値を割っている。この流れを止めなければいけない】

――貴社から見た海運業界の課題とは。

菅■ 私が懸念しているのは、コンテナ船社間で顕在化している“日本離れ”です。

特に、海外のコンテナ船社のプライシングマネージャーと交渉して感じるのは、

外船社は、日本のマーケットは赤字続きで、魅力を失いつつあります。

現に、2月末にSMラインが日本発着サービスの休止を発表したのに続き、

翌週にはMaerskとMSCも横浜―ロサンゼルスの直航サービスを止めると明らかにしました。

邦船3社のコンテナ事業統合会社であるOcean Network Express(ONE)さえも

日本―ロサンゼルス航路を2ループから1ループに集約されてしまってます。

これで、日本―ロサンゼルスの直行便は1ループだけになってしまいました。

それくらい、日本はコンテナ船各社にとって魅力のないマーケットとして映っているのです。
常日頃、当社ではお客様から「できるだけコストを抑えたい」という要望を受けています。

いずれの企業にとってもコスト削減は重要な課題ですから、海上運賃を下げたい気持ちは理解できます。

一方で、マーケットレベルがあまりに低下した現状には危機感を抱いています。

毎年運賃が下がる前提で値下げを繰り返した結果、海運業界の不安定化を招き、

サプライチェーンを見直さざる得なくなり、荷主にとっても大きな不利益となりつつあります。

ほとんどの船会社がコンテナ部門では採算割れが数年間続いていて、

海上運賃はもう底値を割っていると言っても間違いではありません。

限界を超えている中、これ以上値下げ交渉を続けても、荷主側にリターンは見込めません。

そろそろこの流れを止める時期に来ています。

また、船会社も含めた物流業界全体で、売上拡大シェア拡大のための過当競争を止め、

それぞれの強みに特化して、お互いが弱みを補完し合い

、顧客に最適な物流を提案していくことが、業界の再生につながると信じてます。

それが、最終的に長い目で見て、荷主にとっての安定的な輸送による国際競争力のサポートになるでしょう。

このあたりに関しては、拙書「最適物流の科学」にて詳しく書いてます。

――こうした懸念も踏まえ、今後の事業展開のビジョンをお聞かせください。

菅■ 繰り返しになりますが、ジャパントラストはニュートラルな独立系フォワーダーです。

柔軟に輸送を依頼する船会社を選定できます。お客様に北米向けとオーバーゲージ貨物の案件が発生した際は、

すぐ当社に相談いただける体制に持っていければと考えています。そのためには同業他社との協力も欠かせません。

今後は海上輸送以外のお仕事も請負い、同業他社へ仕事を委託してより協業の関係を強化していきたいと思ってます。

それぞれの強みはより伸ばし、弱みを補完できる体制を目標としています。
また、船会社やフォワーダー、乙仲をご経験された方に、副業や独立を支援したり、

NVOCCが本業でない同業者が当社のBL(船荷証券)を使って集荷活動をしていただく集荷代理店を増やしたりしたいと思ってます。

「集荷代理店の新規契約」と「同業他社との協業」という2つのアプローチを通じて、

無用な過当競争を避け、今回のコロナショックを海運業界全体が乗り越えていくことを期待します。

私には海運マーケット全体を発展させたいという大きなビジョンがあります。

現在、他業種では、本業以外の業務をアウトソーシング化することがビジネスのトレンドになっています。

荷主が物流業務をアウトソーシングし、本来の仕事に経営資源を集中すれば、海運業界の再生にもつながっていくでしょう。

どんどん、当社に限らず、フォワーダーのサービスを利用していただきたいと思います。

昨今のコロナショックによりビジネスの世界でどんなにIT化が進んでも、実際のモノを運ぶ産業はなくなりません。

フォワーダーを25年間やってきた経験を踏まえても、海運は、安全な水や電気と同じく、

我々の生活と社会基盤を支える“生死に関わるインフラ”と確信しています。

当社のビジネスを通じ、海運業界が従来の活気を取り戻し、ひいては荷主に利益が還元される好循環を生み出したいと考えています。

投稿者

ジャパントラスト株式会社 

 


2020年11月04日

日本海事新聞「海の日」記念特集号 弊社代表インタビュー記事

2020年7月23日発行 日本海事新聞「海の日」記念特集号原稿 3稿にて弊社代表のインタビュー記事が掲載されました。

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ジャパントラストは、全世界向けオーバーゲージ、北米輸出入FCL(コンテナ単位)を強みに事業拡大してきた。

昨秋からはアジア、欧州など仕向け地を広げた営業活動も実施。

ノンアセット型独立系NVOCC(海上利用運送)ならではの集荷代理店制度など先進的な取り組みも推進する。

菅哲賢社長は「全世界向けオーバーゲージと北米輸出入FCLが軸なのは変わらない」とした上で、

「米中貿易摩擦の影響で貨物減は避けられず、昨秋頃からアジアや欧州などのFCLも積極的に集荷している」と語る。

仕入れ・スペース確保などの強みを発揮しやすい北米、煩雑な調整、迅速な判断が必要なオーバーゲージを磨き上げるため、

これまでは航路拡大による業務過多を避けてきた面があるが、

工作機械などの減少が避けられない事態にコロナ禍以前からいち早く手を打った。

アジア、欧州向け集荷活動は既存顧客が中心。仕入れには以前より定評があり、1度でも同社サービスを使ったことのある顧客には好評だという。

コロナ禍の業績については、「本格的な影響は夏以降」と話す。

主力の工作機械や自動車関連は受注から出荷まで時間がかかるため、夏頃までは受注残があるという。

「影響は短くて1年、最悪は3年で、リーマンショック以上の落ち込みを覚悟して経営判断しなくてはいけない」と危機感も示す。

一方、事業拡大のため昨年から積極的に進めているのが集荷代理店の新規契約。

20年以上前からあり、既に10社以上と契約する制度で、個人や企業が同社のBL、運賃を使い貨物集荷する仕組みだ。

代理店は粗利に応じてコミッションが入る一方、書類作成業務などは不要。

業界経験者や独立を目指す個人、海上輸送事業を始めたい企業など、双方がプラスになる施策として幅広く展開し契約も増加している。

さらに、ドレー、梱包、港湾作業など輸出入に伴う国内業務が本業の物流業者に向けた集荷取次店制度も構築。

集荷代理店と違い自ら海上輸送の営業をせず、同社への顧客紹介で利益を得られる。

本業に注力できる上、海上輸送をきっかけに荷主が一貫で他業者に流れるのを防ぐメリットもあるという。

現状でも同社顧客の半数はエアーフォワーダーや通関、梱包業者など物流業者が占める。

コロナ禍にはコンテンツを充実させたホームページが奏功した。

在宅勤務が増えた時期、ウェブ経由の見積依頼は1日34件あったという。

「荷主自ら情報収集する必要があったのだろう」とした上で、「実荷主や船会社と関係の深い『デジタルフォワーダー』になれば、

更なるコストセーブ、ボリュームディスカウントによる競争力のある運賃提示が可能だ」と見通す。

経済情勢に応じた柔軟な対応、集荷の仕組みに関する大胆な取り組みなど、

今後も独立系NVOCCならではの強みを発揮し、ウィズコロナの時代に立ち向かう考えだ。

投稿者

ジャパントラスト株式会社 

 


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